両方1年使った結論——「どっちが上か」は間違った問いだった
正直に言うと、この記事を書くにあたって最初に伝えたいのは「NotionとObsidian、どっちが優れているか」という問い自体がズレているということ。
自分はNotionを3年、Obsidianを1年半ほど使い続けている。どちらも現役で、毎日開いている。最初はObsidianに完全移行しようとした時期もあったし、逆にNotionだけで全部まとめようとした時期もあった。でも、どっちか一本に絞ろうとするたびに「あ、やっぱりこっちも必要だな」と戻ってくる。結局のところ、この2つは競合しているようで役割がまったく違う。
きっかけは1年ちょっと前。仕事のプロジェクト管理をNotionでやりつつ、個人のメモや読書ノートもNotionに放り込んでいた。ページ数が500を超えたあたりから、とにかく動作が重くなった。検索しても目当てのメモがなかなか出てこない。「これ、自分の脳内と同じでぐちゃぐちゃだな」と思ったのがObsidianを試したきっかけだった。
Obsidianを使い始めて最初の1週間は正直戸惑った。Markdownの記法に慣れるのに少し時間がかかったし、Notionのようにドラッグ&ドロップでデータベースをいじる感覚とは全然違う。でも2週間くらい経ったころ、メモを書くスピードが明らかに上がっていることに気づいた。余計なUIに気を取られず、テキストだけに集中できる感覚。これはNotionにはなかったものだった。
一方で、チームの情報共有やタスク管理はObsidianでは厳しかった。8人のチームでプロジェクトを回すのに、全員がローカルのMarkdownファイルを同期するなんて現実的じゃない。結局Notionに戻った。そこで気づいた。「使い分ければいいじゃん」と。
この1年間の試行錯誤を経て、今は完全に棲み分けができている。その経験をベースに、この記事ではできるだけ具体的に比較していく。
10項目で徹底比較——実際に使って感じた差
まず全体像をつかんでもらうために、10項目の比較表を用意した。
| 比較項目 | Notion | Obsidian | コメント |
|---|---|---|---|
| 料金 | 無料〜$10/月(Plus) | 無料(Sync $4/月) | 個人利用ならObsidianのコスパが圧倒的 |
| メモの書きやすさ | ブロックエディタ | Markdownエディタ | テキスト中心ならObsidian、装飾込みならNotion |
| 動作速度 | ページ数増加で重くなる | ローカルなので常に軽快 | 500ページ超えるとNotionは体感で遅い |
| データベース機能 | 非常に強力 | プラグインで対応可 | 構造化データの管理はNotion一択 |
| チーム利用 | リアルタイム共同編集可 | 基本は個人利用 | 複数人で使うならNotion |
| プライバシー | クラウド保存 | ローカル保存 | 機密情報を扱うならObsidian |
| カスタマイズ性 | テンプレート中心 | プラグイン2,000以上 | 自分好みに作り込むならObsidian |
| 学習コスト | 低い(直感的) | やや高い(Markdown必須) | 初心者はNotionのほうがとっつきやすい |
| モバイル対応 | 良好 | やや不安定 | 出先でサッと確認するならNotion |
| バックアップ | Notion側で管理 | 自分でコントロール | Obsidianのほうが安心感がある |
ここからは各項目について、もう少し掘り下げていく。
メモの書きやすさ——Obsidianの「何も考えなくていい」感覚
実際にはこの差が一番大きいかもしれない。
Notionのブロックエディタは見た目がきれいで、トグルやコールアウト、埋め込みなど多機能。でも「ただメモを取りたいだけ」の場面では、その多機能さがむしろ邪魔になることがある。新しいブロックを追加するたびにメニューが出てきて、ちょっとしたことでマウスに手が伸びる。
Obsidianはテキストエディタそのもの。Markdownで書くから、見出しは##、太字は**、リストは-。キーボードから手を離さずに書ける。自分が計測した限りだと、同じ内容のメモを書くのにObsidianのほうが平均で25%くらい速い。1日に10本以上メモを取る人間にとって、この差は結構デカい。
ただし、Markdown記法を知らない人にとっては最初のハードルがある。実際に自分の周りでObsidianを勧めた5人のうち、2人は「覚えるのが面倒」と言ってNotionに戻った。
動作速度——ページ数が増えたときの差が露骨
Notionはクラウドベースなので、ネットワーク環境に依存する。自分の環境(回線速度100Mbps程度)だと、ページの読み込みに1〜3秒かかることがある。ページ数が少ないうちは気にならないけど、500ページを超えたあたりから検索の遅さがストレスになった。
Obsidianはローカルにファイルがあるので、1,000ファイル以上あっても検索は一瞬。正直、この速度差を体感すると「メモアプリでクラウド必須って本当に必要か?」と考え直すことになる。
ただし、Obsidian Syncを使ってデバイス間同期をしている場合、同期の遅延が発生することはある。自分の場合、PCで書いたメモがスマホに反映されるまで30秒〜1分くらいかかることがあった。
データベース機能——ここはNotionの独壇場
正直、Obsidianにデータベース機能を求めるのは筋違いだと思っている。
Notionのデータベースは本当に強力で、同じデータをテーブル、ボード、カレンダー、ギャラリーと複数のビューで切り替えられる。たとえば自分はコンテンツの管理に使っていて、「ステータス別」「カテゴリ別」「公開日順」とビューを切り替えながら進捗を追っている。100件以上のコンテンツを管理するのに、スプレッドシートよりNotionのほうが断然見やすい。
ObsidianにもDataviewというプラグインがあって、メモのメタデータをテーブル表示できる。ただ、これはあくまでMarkdownのフロントマターを参照する仕組みで、Notionのデータベースとは使い勝手が全然違う。設定にも手間がかかるし、SQLライクなクエリ構文を覚える必要がある。
チーム利用——Notionじゃないと回らない場面がある
自分のチーム(8人)では、プロジェクトの情報共有にNotionを使っている。議事録、タスク管理、ナレッジベース、全部Notion。リアルタイムで同じページを編集できるし、コメントでやり取りもできる。権限管理もページ単位で設定できるから、外部パートナーに一部だけ公開するといった運用もやりやすい。
Obsidianでチーム利用をやろうとした人の話を何度か聞いたけど、うまくいった例はほとんど聞かない。Git管理でMarkdownファイルを共有するやり方もあるけど、非エンジニアのメンバーにGitを使わせるのはハードルが高すぎる。
プライバシーとデータ管理——ここはObsidianの思想が光る
Obsidianのデータはすべてローカルの.mdファイル。つまり、自分のPCのフォルダにテキストファイルとして保存される。クラウドに送信されることはないし、Obsidianのサービスが終了してもファイルはそのまま手元に残る。
実際には、この「データの所有権」を気にする人は増えている。自分の周りでも「会社の機密情報はNotionに置きたくない」という声はよく聞く。Notionもセキュリティには力を入れているけど、クラウドに預ける以上、ゼロリスクではない。
バックアップの自由度もObsidianが上。自分はiCloudとGitの両方でバックアップを取っていて、万が一どちらかがダメになっても復元できる体制にしている。Notionのエクスポート機能もあるにはあるけど、定期的にやるのは面倒で、正直ほとんどやっていない。
カスタマイズ性——Obsidianは「自分だけの環境」が作れる
2026年4月時点で、Obsidianのコミュニティプラグインは2,000以上。テーマも数百種類ある。自分が使っているプラグインだけでも20個以上あって、Templater(テンプレート自動挿入)、Calendar(カレンダービュー)、Kanban(かんばんボード)あたりは毎日使っている。
この自由度は魅力だけど、落とし穴もある。カスタマイズにハマりすぎて「メモを取る」という本来の目的を忘れて設定をいじり続ける人を何人も見てきた。自分も最初の2ヶ月は完全にそうだった。プラグインを入れては外し、テーマを変えては戻し、気づいたら3時間経っていたこともある。
Notionはその点、最初からある程度完成されたUIが用意されている。テンプレートギャラリーから選んで少し調整すれば使い始められる。「設定に時間をかけたくない」「とりあえずすぐ使いたい」という人には、Notionのほうが合っている。
学習コストとモバイル対応
学習コストはNotionのほうが明らかに低い。ドラッグ&ドロップでブロックを並べ替えるUIは直感的で、PCに詳しくない人でも1〜2日で基本操作を覚えられる。
Obsidianは最低限Markdownの記法を覚える必要がある。とはいえ、よく使うのは見出し・太字・リスト・リンクくらいなので、そこまで大変ではない。ただ、プラグインの設定まで含めると、自分好みの環境を構築するのに2〜3週間はかかると思ったほうがいい。
モバイル対応は正直Notionが一歩リード。Obsidianのモバイルアプリも改善されてきているけど、PC版と比べるとやはり操作感に差がある。出先でサッとメモを確認したり、ちょっとした修正をする程度ならどちらも問題ないけど、モバイルでがっつり作業するならNotionのほうが快適。
私の使い分け方——1年かけて落ち着いた形
試行錯誤の末に落ち着いた使い分けはこうなっている。
Obsidianに置いているもの:
– 日記・日次レビュー
– 読書メモ、ポッドキャストの感想
– アイデアのメモ、思考の断片
– ブログの下書き
– 個人的な目標管理
Notionに置いているもの:
– チームのプロジェクト管理
– コンテンツの進捗管理(データベース)
– 議事録
– クライアント向けの共有ドキュメント
– 経理関連のテーブル
要するに「自分ひとりで考える作業はObsidian」「誰かと共有する情報はNotion」という線引き。この使い分けに落ち着いてから半年以上経つけど、不満はほぼない。むしろ、それぞれの長所を活かせて全体の生産性は上がった感覚がある。
ユースケース別おすすめ——あなたに合うのはどっち?
万人に合うツールは存在しない。だから「あなたの状況」で考えてほしい。
Notionがおすすめな人:
– チームで情報を共有する必要がある
– データベース的にタスクやプロジェクトを管理したい
– 設定に時間をかけず、すぐに使い始めたい
– モバイルでもがっつり使いたい
– 非エンジニアのメンバーと一緒に使う
Obsidianがおすすめな人:
– 個人のナレッジ管理に特化したい
– プライバシーを重視する(データをクラウドに預けたくない)
– Markdownで快適に書きたい
– 自分好みにカスタマイズしたい
– 大量のメモを高速に検索したい
両方使うのがおすすめな人:
– 個人作業とチーム作業の両方がある
– 思考整理(Obsidian)と情報共有(Notion)を分けたい
– 予算に余裕がある(Notion Plus + Obsidian Sync で月$14程度)
正直、迷っている段階ならまずNotionから始めるのがいいと思う。理由は単純で、学習コストが低いから。Notionを使ってみて「もっとテキストに集中したい」「動作の軽さが欲しい」と感じたら、そのときObsidianを試してみればいい。
逆にMarkdownに慣れている人やエンジニアなら、Obsidianから入ったほうがしっくりくるかもしれない。自分の周りのエンジニアは、ほぼ全員Obsidian派だった。
よくある勘違い——乗り換えじゃなくて併用でいい
「NotionからObsidianに乗り換えるべきか」という相談をよく受ける。でも実際には、乗り換える必要なんてない。両方使えばいい。
「ツールは1つに統一すべき」という思い込みが強い人が多いけど、実際に両方使ってみると、情報の性質によって最適なツールは違うことがわかる。個人の思考整理とチームの情報共有を同じツールでやろうとするから無理が生じるわけで、分けてしまえば快適になる。
もちろん「管理するツールが増えると面倒」という意見はわかる。でも慣れてしまえば、朝Obsidianで日記を書いて、仕事中はNotionでチームと連携して、夜またObsidianで振り返りを書く、というリズムは自然にできるようになる。自分はもう無意識にこのサイクルを回している。
どちらか1つに絞りたい場合は、自分の利用シーンの8割をカバーできるほうを選べばいい。残りの2割は多少不便でも我慢できる範囲のはずだから。
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